殺陣的音響話ー『スロー』と『実速』ー@牛居朋広
ご無沙汰しております、牛居朋広です。
誕生日にブログ更新の役目が回ってきたので、ちょっと運命を感じております。
すごい偶然です。
そんな話はさておき。
本日の殺陣的音響話は稽古における『スロー』と『実速』についての音響目線からのお話となります。
殺陣・アクションをやった事がある方は、用語に多少の差があれど聞いた事のある話かと思いますが、
ここでの『スロー』というのは「決められた動きをゆっくり(だいたい五割くらいで)行う」事で、
『実速』というのは「決められた動きを本番同様の速度で行う」事という意味とします。
なぜ今回この話をするかといいますと。
アクションサンプラーのお仕事をいただいた時に、音を作るために稽古場に殺陣の動画を取りに行くのですが。
その時に「スローだけでよくない?なんで実速までやらないといけないの?」と俳優さんに訊かれた事があるので、
この機会にその理由をお伝えできればなと思った次第です。
まず「何故ゆっくりと分かりやすく手を見せているスローだけで不十分なのか?」は、
端的に言って「俳優さん毎の五割の感覚が違うから」これにつきると思います。
スロー状態の殺陣動画と本番で実速になった時では、動き出しの俳優さんが変わる事が多々あります。
嘘みたいな話ですが、これが本当によくある話です。
(それぞれのブロック内では同じでも、別ブロックと同時に見た場合などに)
というのも。
私が動画の撮影に伺うのは必然的に稽古の途中になるので、
全員のリズムがまだ完全にあっていないことが多いのです。
通し稽古もしていないタイミングであることもしばしばあります。
なので、スロー動画だけを撮影してサンプラーの稽古をしていると、
合流した時に動きと音が合わなくて十中八九困った事態になります。
座組にずっと付き添って音を出せるならそれでも問題ないのでしょうが、いろんな都合でそれも難しい事が多いです。
といった具合なので。
稽古動画の撮影の段階で両方撮らせて貰えると、動きに合わせる稽古が早い段階で出来るので、
はやく音の種類や質の向上のターンに移ることが出来るのです。
これが『スロー』と『実速』の稽古動画を撮影させていただく主な理由になります。
普段こんな話を俳優さん達とする機会もあまりないので、あいつはこんなこと考えてるのか―、くらいに思ってもらえれば幸いです。
これはあくまで私の場合のお話ではありますが、他の音響さんでも共感していただける部分はあるんじゃないかなぁ?と思います。
いや!俺はスローだけで本番の動きが手に取るようにわかるぜ!みたいな天才肌の方もいるんでしょうか?
もしいらっしゃるなら是非とも教えを請いたい......
それにしても、早くまた皆で作品づくりがしたいなぁ~
念のため
※この文章は個人の意見です。
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